飲食店の使い方

そのお店、どうやって選びました?

飲食店を利用するシーンは、その人によって様々かと思います。
食事に、飲みに、時には接待やら打合せ、あるいはデートだったり。細かいことを言えばまだまだシーンは出てきますね。
現在は複数のグルメサイトで簡単にお店の評判を調べられる時代です。
でも、実際には「思った感じと違った」「評価が高かったのに美味しくなかった」「店員の態度が不快」いろいろ起こります。
本項ではそうしたミスマッチが起きる原因と、現実的に確実な事前調査方法をお伝えします。

あなたと誰かは別の人だから

グルメサイトで下調べをしたかもしれないし、友人からお奨めされたお店だから足を運んだのかもしれません。
でも、あなたでないその誰かの評価はその人の評価に過ぎないということを念頭におきましょう。
誰かにとっての良いお店があなたにとっても良いお店である保証は、残念ながらありません。

店舗に勤務していると耳にするのが「〇〇って聞いて来たのに…」といったニュアンスの言葉。
あれが美味しいとか、活気があって居心地が良いとか、ポジティブな推薦を受けて来店されたのだと思います。
でも、感じ方は人それぞれですよね。好みだって、近いことはあっても完全に一致はしないものです。

・とにかく焼き鳥が好きなAさん「あのお店の焼き鳥は何でも美味しい。損はしないから行ってみて!」
焼き鳥以外も食べたいBさん「確かに焼き鳥は美味しいけど、他にもいろいろつまみたかったな…」

大衆居酒屋が好きなCさん「安いし何でもあっていつも賑わってて、楽しいお店だよ。雰囲気が良いから行ってみてよ」
落ち着いたお店が好きなDさん「安いしメニューは豊富だけど、騒がしいし、他のお客さんが近くて落ち着かないなあ…」

と、こんな具合にミスマッチは常にそこら中で起きるわけですね。
でも、折角お店に行くのであれば満足して帰りたいですよね。これ、店員だって同じこと考えてます。
自分が接客して、調理して、不満げに帰られたらやっぱり嬉しくないですからね。

では、どうしたらそのミスマッチを減らすことができるでしょうか?
これは残念ながらお店側だけではどうすることもできない問題なんです。


美味しくない→調理ミスや材料の痛み等を除き、口に合わないのはどうしようもありません。万人向けに作られた商品ですので。
騒がしいor活気がない→業態や立地にもよりますが、客層の影響が大きいです。まだまだお店側はお客さんを選べないことが多いです。
品揃えが不満→グランドメニューは企業次第ですが、居酒屋業態でしたらおすすめメニューにお客さんの意見が反映されることも。
清潔感がない→チェーン店で清潔感が欠ける場合はそういう企業体質だと思って良いです。衛生観念が低い=危ないお店です。

それでは、現実的に行きたいお店がどういうお店か確認する方法を挙げていきましょう。

ここで見分ける、ミスマッチのチェックポイント

チェック1
お気に入りの会員登録しているグルメサイトがあるかもしれませんが、店名で検索をかけて幅広くサーチしてみてください。
Aのサイトで高評価を得ているお店がBのサイトだと平均以下、なんてこともよくある話だったりします。
評価に一貫性がないのは少々、怪しいと言わざるを得ません。
また、グルメサイトによって掲載されているメニューが違う、なんてことも少なからずあります。見かけたら電話で確認を。
メニュー更新が反映されていないだけなのですが、行ってみたら食べたいメニューがなかった、では残念過ぎますので。

チェック2
コメント内容は悪いものほどよく読み込んでください。繰り返し同じような指摘が見受けられれば、それが実態です。
逆に良いコメントで同一商品が度々称賛されているようであれば、外さない鉄板メニューであると言えます。
鉄板メニューの素材、調理法、味付けをチェックすることで、そのお店の方向性は大まかに推察できますよ。
※チェーン店でもメニュー開発者は1~3名です。その人の得意分野で開発されますので似通った味になります

チェック3
グルメサイトからネットで予約というのも定番ですが、席を取るだけだとしても電話で予約をお願いしてください。
予約を入れることでお店はあなたという個人を認識します。この時点でその他大勢から抜きんでることができます。
ピーク帯は避けて、繋がるまで何コールかかったか(大抵の場合、3コール前後までに出ろと決められています)
対応したスタッフの応対(名前は名乗ったか、明るい語調であるか)などからスタッフの教育レベルを知れます。
※拙い対応だったとしても、担当者に代わります等の提案があれば最低限の教育は行われています

お店によっては少し嫌がられる可能性がありますが、ついでに少し質問を投げかけてみると良いです。
例:静かな席ってありますか?初めてなんですけど、予算は1人いくらぐらいですかね?等々、当たり障りない感じでOK。
事務的な返答があれば、きっちり教育を行っていることの裏付けになります。安心感がある一方でマニュアル型、融通は利かない可能性も。
砕けた感じの返答であれば、店舗裁量が大きく、仲良くなれば無理も聞いてくれるお店でしょう。対応するスタッフで当たり外れ激しいことも多いですが。

必ず押さえていただきたいチェックポイントはこの3点でしょうか。
しかし、あなたが今、気になっているそのお店が近所のお店であれば1度、1人で行ってみるのが手っ取り早く確実な方法ではあります。
百聞は一見に如かず。本当に大事な人、集まりであれば、何よりも先に行ってみることをお奨めしますよ。客層や雰囲気ばかりは、事前につかむことはできませんからね。
予算もメニューもスタッフの応対も良い。でも、行ってみたら常連さんばかりで居心地が…。
そんなことも珍しくありませんので。

まとめ


グルメサイトで検索→画像だけ見て美味しそう!→あ、口コミも高評価付いてる→じゃあ、ここにしよう。

恐らく、大多数の方はこんな感じで簡単にお店選びを進めていると思うのです。でも、それじゃあもったいない。
冒頭であなたでないその誰かの評価はその人の評価に過ぎないと書きましたが、それをもっと上手く利用しましょう。
次回以降にお話ししますが、お店にはお店のポジショニングやターゲットというものが存在しています。
外から見てわかりやすいものではないのですが、このポジショニングを無視してお店を選んだり、あるいはターゲットから外れている方が悪評を書き連ねるということも多いです。
正しく理解して使えば、本来、☆1のような評価は出るはずないと思うのですけどね…。

鵜吞みにしたって意味はないですが、書き込みを漁ればヒントになる言葉はそこら中に溢れています。一方で山のように情報が溢れているだけに、自分がほしい情報にたどり着けなかったり、埋もれている山の中から掘り出すのが面倒臭くなってしまったり、というのが実情かなとは思います。

でも情報を利用し、ひと手間かけて自分自身の好みと照らし合わせてお店を探し出す。それって楽しくないですか?子供のころに、宝探しとかやった記憶がある人もいるかなと思いますが、あれと似ている気がするのですよね。拙い地図を見ながら、あっちかな?それともこっちかな?ここに着いたら何があるんだろう?そんなワクワク感を持ってお店探しを行っていただけると、当たりを引き当てた時の満足感もひとしおかな、と。
余談になりますが、実際にお店に行ったら評価してやろう、なんて気持ちでは楽しめませんよ。
その場では純粋に料理や雰囲気、会話を満喫してください。帰って、どうしても書き留めたいことがあったら思い返してレビューする。それくらいで十分です。お金払って、写真撮って、詳細なレビュー書いて。それで満足なのでしたら私が止めることではありませんけどね。

お客さんとお店の人と、そのどちらもが嬉しくなるような出会いが増えてくれたら幸いです。
あなたにとって、良い店が見つかることを願って。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

叶井 拓也

13年間、チェーン店を主に料理長・店長を歴任した元飲食人。 現職はwebライター。会社に雇われない生き方を模索しつつ、 ネットの片隅で活動中。

-飲食店の使い方