飲食店の裏話

飲食店の裏話~社員とバイトの違いって?

常に求人をかけているイメージの飲食業。

正社員もアルバイトも共通して募集されていることも多いです。

実際、何が違うの?っていうお話です。

社員の方が給料が高い?

あくまでも、こういうパターンもありますよ、という一例です。

正社員Aさん 月230時間勤務・日勤メイン・社会保険あり・月給253000円・時給換算1100
バイトBさん 月180時間勤務・夜勤メイン・社会保険なし・月給247500円・時給換算1375

同一条件ではないので比較するのもあれなのですが、
社員は基本的には働く時間を選ぶことはできないケースが多い。


一方で、働く時間帯を選べるのはアルバイトの強みです。
休みも取りやすく、信頼を得れば時給アップも狙いやすい。

すると、50時間も勤務時間が少ないのに、正社員と収入面では差がなくなります。

社員なら社会保険があります。
しかし、月に180時間程度の勤務実績がある場合はアルバイトでも加入義務が発生します。

上記パターンでBさんが230時間働くと316250円まで月給は上がります。
社会保険料を差し引いても、余裕で社員の月給を上回りますね。

社員だからバイトより給料が高い、ということはありません。

福利厚生とかは?

アルバイトと比較した場合、例えば有給が消化しやすい場合もあります。
有給取得率の高さなどを対外的にアピールするためですけども。

出勤日数の兼ね合いで社員の方が有給そのものは多くなります。
ただ、なんやかんや言われて自由に取れないことがほとんどですが。

誕生日に食事券が配布されたり、少ないですが保養施設があるケースなんかも。
ただ、これらはアルバイトでも多少の金額の差はあれ、対象になる会社もあります。

ボーナスが支給される場合、これは流石に社員が対象です。
ただ、支払われること自体が稀な業界ですので、絶対的に優位かというとそうでもないですね。

社員だからバイトより福利厚生が恵まれる、ということもないようです。

社員だけが負うものって?

待遇はアルバイトと差がないのに、負うべきものは多かったりします。

アルバイトの場合、多少、成長が鈍くとも長い目で成長を待ってもらえる。
これが社員になると、毎月の店長とのミーティング等で叩かれます。

店長は店長でその社員の教育を会社から任されている立場ですから、
出来なくていいよ、とはなりません。

経験者か未経験者かでも変わりますが、決まった期間に育て上げないといけない。
なので、社員は学び、成長することに責任を負わされます。

社員比率が高い場合ですが、店長不在時の責任。これを負うのも社員の仕事です。

年中無休店舗などは、どうしても店長不在の日、時間帯が発生します。
その日、時間帯には大抵の場合は配属社員があてがわれますね。

普段は触れない店長業務を代行しなければいけないのです。
知らなくとも、やってみせなければならないのです。社員として。

時には謎なクレームもあります。

「どうして魚のメニューがないのか!おかしい!」と。
そこは焼き鳥屋でした。隣に海鮮系のお店があるのに、焼き鳥屋に来てこのように仰る。

それでもお詫びして、説明して、ご理解いただかなければなりません。
理不尽ですね。

あれ?社員ってなにもメリットないの…?

これが飲食のOJT=脱すれば店長

飲食店における正社員とは、誰しもが幹部候補生の扱いになります。

歴戦のキャリアをお持ちの場合は、最初から店長待遇で迎えられる場合もあります。
でもここを見ている方はその類ではないですよね。

いわゆる一般社員と呼ばれる飲食の入り口は、誰でも立てる店長への第一歩

多くの飲食企業は、いろいろ言ってますが教育体制など整備されていません。
やりながら、見て、考えて、覚えて、試行錯誤して自分で何とかしろというのが常識です。

インターンみたいなもの、というのが正しいところでしょうか。

給料は払う。社会保険も加入させる。だから、あとは頑張れと。
現場に放り込んでいるのだから、あとはお前次第だぞ、と丸投げされているわけです。

面倒見の良い、常識的な店長に恵まれればあなたは強運です。
大抵の場合、癖の強い、ちょっと独特な人が多いので…人のことは言えませんが。

ともかく。
アルバイト並みの待遇で過ごすこの期間に、今後に役立つことをどれだけ学べるか。

どこまで自分を求められている姿に近づけられるか、です。

実際に働くとわかりますが、二番手以下のポジションは正直、楽です。

何かやらかしても店長に責任取ってもらえるので。

なかには、そのまま二番手の地位に定住する人も少なからずいますからね。
そのうち自分が世話した後輩が店長になって再会したりしますけど。

努力が出来て、会社の意向を汲める人は、引き上げられます。
どこの業界もそうでしょうけど、飲食はその辺がとてもわかりやすい世界です。

長い時間をかけず、売り上げという形ですぐ結果が見えますのでね。
努力した分は昇格・昇給で還元されますのでやりがいは感じやすい。

最初こそ待遇は悪いものの、社員はあくまでも店長候補生なのだということです。
どれだけ優秀でも、アルバイトでは店長になることはできません。

なお、流石に店長に昇格すると、各種手当で給料が補強されます。
そうなると、ベテラン夜勤アルバイトさんにも月給で負けることはなくなります。

社員とバイトは働き方の違いだけ

以上のことから言えるのは、これではないでしょうか。

誰しもが上を目指しているわけではありません。
責任を負って、痛い目に遭った方もいるでしょう。

自分で独立開業でもお考えであれば、ある種の才能も必要になります。
金勘定や、人を見る目とか。折れない心とかね。

でも、働く選択肢としての飲食には特別な才能はいりません。

料理できない、接客経験もない状態の私が飛び込んで、料理長や店長になれる世界ですから。

気楽に働きたいから、アルバイトでいいんだけど。全然ありだと思います。

よくわかんないけど、店長目指してみたいから社員で。それでもいいんです。

ちょっといい加減なところも多いですけど、その分、何かと自由が認められる。
そんな飲食業が私も好きでした。

興味を持った方、未経験でしたら失うものはありません。
一歩、踏み込んでみてくださいね。

あなたにとって、良い店が見つかることを願って。

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叶井 拓也

13年間、チェーン店を主に料理長・店長を歴任した元飲食人。 現職はwebライター。会社に雇われない生き方を模索しつつ、 ネットの片隅で活動中。

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