飲食店の裏話

飲食店の裏話~飲食ってやっぱりブラック?

飲食店の求人、よく見ますよね。
世間では飲食業ってブラックだと見做されがちですが
実際のところ、何がどうブラックなのか?
どういうところがそう言われる所以なのか。
転職をお考えのあなたにお届けしますよ。

飲食店の勤務時間

求人票などでおなじみの勤務時間。
飲食店の例としては

  • 勤務時間 11:00~24:00
  • シフト制(実働8時間)
  • 配属店舗による

などと記載されているケースが多いです。

11:00~24:00の間で8時間労働時間があるのだな、と思いますよね。
実際にはここに休憩1時間が含まれますので9時間拘束時間が発生します。
そして、このシフト制、実働8時間という表記。

実働8時間の日もありますよ、という程度の意味合いしかありません。

事務職など、本当に表記通りの仕事もあるようです。私は知りませんが。
飲食においては上記の通り、シフト制で稼働しており、それは配属店舗による、と。


大体の場合は三六協定が締結されておりますので(締結せず使い倒す会社もありますが)
飲食店は月間労働時間ギリギリに合わせてシフトを組むところが多いと思います。

良く聞く例だと月の実労働時間を230時間で設定しているパターンですかね。
ですので、11:00~24:00で実働12時間というシフトは普通にありえます。

上記はビジネス街に多い勤務時間ですが
もう少しローカルエリアになると営業時間が朝までという店舗もあります。


そうなってくると、どういうシフトになるか、想像つきますよね?
人手不足でアイドルタイムもない店舗であれば、みなし休憩を強いられることも。

休日取得数も法に触れない最低ラインの月4日のみ。
有給が自分の意志では取得できないケースも多々あります。
大手企業でも、社員は基本、休日は自宅待機を命じられていたという声も耳にしました。

その一方で、近年はそうした旧来のスタイルから脱却を目指す企業も出てきています。
完全週休2日制で必ず月に8日以上の休日取得を謳ったり、誕生日や記念日に休日を与えるなど。


勉強代として関連書籍類の費用を負担してくれたり、様々な工夫も見られます。
社員が泊まれる部屋を店舗近くに用意している会社もあるようですね。
そんな部屋を用意するより終電までに帰らせろ、という話ですが。

と、まあ、勤務時間については一般的にブラックと言われる要素は十分に持ち合わせています。 

飲食店の給与

以前の記事で触れましたが、飲食は始めるのは簡単な仕事の代表です。
薄給激務と言われることもある飲食業ですが、給与面はどうなのでしょうか。

  • 一般スタッフ 23~27万 各種手当込み・交通費別・残業代別
  • 店長候補   25~29万 各種手当込み・交通費別・残業代別
  • 店長     32~40万 各種手当込み・交通費別・残業代別・インセンティブあり

こんな表記が多いのではないでしょうか。
一般スタッフが未経験、あるいは若年者のスタート位置になります。
未経験でも27万付近は狙える。それならば、と思いましたか?

あまり知られていませんが、月給制と表記されていてもほとんどは日給月給制です。


既定の労働時間ありきで、労働時間を割った分、遅刻や早退、欠勤などはしっかり給与から引かれます。
上記給与額は、月の労働時間いっぱいまで働いた場合にこれだけ払いますよ、という目安ですね。

これまでの仕事で10数時間の肉体労働経験がない場合、最初は結構、体力的にきついです。
動線が悪いお店も多いので、日に30000歩近くも歩かされることも。慣れてても疲れますので。


せめて足に合った靴を選ぶとか、着圧サポーター等で対処する方もいました。自費ですが。
ちなみに、制服が一式ないお店は仕事着も自費で用意する必要があります。
通勤のままの格好でも良いですが、結構、臭いが付くんですよね…。

賞与についても記載はあっても支払われないことは多いです。
そもそも、具体的にいくらの利益が出たら、その何割を賞与に回すなど最初から触れられていません。


業績による、と載っていることがほとんどですが、その業績を知らされない会社が多いです。
払ってくれる企業もありますので、すべてが嘘だとまでは言いませんが、期待は禁物。

そのほかに大入り手当、インセンティブ支給の文言も鵜呑みはNGです。


これもまた具体的に何が、どうしたら、いくらを、どうやって、還元するとは触れられていません。
そうは言っても、面接でいきなりは聞きにくいですからね。

さて、こちらも最近では残業代全額支給を謳う企業も増えてきつつあります。
従来のふわっとした、評価者の基準に依存した評価制度を改め
誰にでもわかりやすい明確な評価基準を定める動きも出てきています。

以前だと

「最近頑張ってるね。昇給申請しとくから」 

みたいな、何がどう頑張っていると評価されたのかわからない謎昇給も多かったものです。
ほとんどは評価者の好みや、自エリアの評価全体の底上げのためにやっているのでしょうけど。
そうした部分の見える化が進むと、働く人間のモチベーションアップに繋がりますね。

とは言っても、給与面でもややブラックな雰囲気は否定しきれませんが。

よく言ってもダークグレー

今回は飲食業の勤務時間、給与体系について触れてきました。
イメージ通り?それとも、大幅にズレていましたか?

結局のところ、企業次第ですべて決まってしまうので、業界全部がブラックとは言いません。


しかし、言い逃れの余地なく、どこまでもブラックなところもあるのが事実ですね。
改善の動きは出てきているとはいえ、業界全体にまで広がるにはまだまだかかるでしょう。

ということで、飲食業界はブラックなのか?現状で言えばブラックです。よく言ってもダークグレー

ただ逆に考えれば、これから良くなっていく可能性は十分に秘めているわけです。
悪い面ばかり取り上げがちですが、飲食業は自己実現がしやすい世界です。


世の中を見渡しても、飲食業ほど簡単に独立を果たせる仕事ってそうそうありませんからね。
もちろん、独立者すべてが成功するわけじゃないです。失敗の方が多い。
それでも、何かしらの夢を持って働ける仕事だと私は思っています。

別に独立がゴールである必要もありません。


未経験で飛び込んで店長を目指す。これだって一つの夢だと思うんです。
未経験で一般企業に飛び込んで、課長を目指す。それって何年かかるんでしょうね?


その点で言えば、飲食業の店長は未経験から1年で実現だって不可能じゃない。
店長になれたら次はエリアマネージャー、あるいは本部勤務という選択肢もある。


自分次第で、今が例え何歳だろうと、まだ何者かになれる未来を描けます。
もしも今、飲食業をやってみようかどうしようか、迷っている方がいたら。


迷っているくらいだったら、いっそ飛び込んでみるのも手だと思いますよ。
飲食業はリセットこそできなくとも、やり直しが利く世界ですので。

あなたにとって、良い店が見つかることを願って。

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叶井 拓也

13年間、チェーン店を主に料理長・店長を歴任した元飲食人。 現職はwebライター。会社に雇われない生き方を模索しつつ、 ネットの片隅で活動中。

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